仏壇の中でも一番手にとって飾りを整える機会の多い3つの道具があります。
- 花瓶(かひん)
- 香炉(こうろ)
- 蝋燭立(ろうそくたて)
花瓶・香炉・蝋燭立の3つの道具の並べ方は三具足(みつぐそく)もしくは五具足(ごぐそく)と呼びます。
本記事では三具足・五具足の飾り方を解説していきます!
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はじめに
仏壇のサイズや道具の大きさ、仏壇内の卓の位置や高さなど、構造上、そして物理的にルール通りにお飾りができない場合が非常に多いです。
ですので、お寺の内陣の飾りの仕方をベースに各ご家庭で再現可能な形でお飾りしていただいたらいいかと思います。
基本の三具足(みつぐそく)
三具足が平常時の基本の飾り方になります。
▼花瓶(かひん)、香炉(こうろ)、蝋燭立(ろうそくたて)3つの道具を、下のように並べるお飾りの仕方を三具足(みつぐそく)といいます。
仏壇に向かって、左に花瓶・真ん中に香炉・右側に蝋燭立を置きます。
花瓶と蝋燭立はそれぞれ一対ありますので、残りの使わない方は普段は片付けておいてかまいません。
作法の本には「この三具足を仏壇の中の棚にお飾りします・・・」みたいに書かれていることがあるのですが、半間の仏壇では置けるだけの広さがないこともあります。
その時は仏壇の前に棚か机などを置き、お持ちの方は打敷(飾り用の布)を敷いて、その上にお飾りしてください。
普段はこの花瓶・香炉・蝋燭立という3つの道具、三具足でお飾りしていただいたら大丈夫です。
五具足は法事の時や報恩講に
年忌の法事、新しく仏壇を迎えられる時の開闢(かいびゃく)法要、報恩講など、各種法要の時には、お飾りも豪華にします。
花瓶1対・ろうそく1対・真ん中に香炉を置いた形を五具足といいます。
三具足に比べて見るからに丁寧ですよね。
金香炉について
▼こういう蓋つきの香炉を金香炉(かなごうろ)といいます。
この中に香炭を火種としていれておき、お焼香をする時に使います。
普段は三具足、五具足ともにお線香をいれる香炉の奥側にお飾りしていただいて、焼香をする時には前にだしておくといいでしょう。
仏壇屋さんに聞いたところ、最近の金香炉は塗装によっては炭をいれたら熱でいたむものもあるそうです。新しく購入する際には説明を聞いておいてくださいね。
道具を置く時の向き
蝋燭立、香炉など、3本足になっている道具は1本足がこちらに向くように置きます。
すべての道具が正面にむくとこのように見えます。
仏壇の前にある机には何ものせない
仏壇の前にある机は経卓(きょうじょく)といって、経本を置くための机です。
ここにお線香とか香炉、蝋燭立をおくと見た目にもごちゃごちゃしますし、手が当たって倒したりする危険性もあります。
▼おりんもこの上においてあることが多いのですが、経卓の右手前あたりに置いていただいたら結構です。
お寺のお飾りをみてみましょう。
これは郡家興正寺別院の法要時の荘厳の様子です。
三具足はこのような形で、お線香をいれる香炉(土香炉どごうろ)が前にきて、焼香をするふたつきの金香炉(かなごうろ)が後ろにきています。
ご本尊の前は五具足になっており、この場所では焼香が行われるので蓋付きの金香炉が手前にきて、お線香を入れる土香炉(どごうろ)が奥になっています。
お寺では写真のような大きな棚(高卓や上卓)の上にお飾りしているのでスペースがたっぷりありますが、お仏壇の中でこれに対応する棚は比較的小さく作られていることが多いです。
とても花瓶を置けるような大きさではありません。
作法の本はお寺のお飾りの仕方に準じるべきという立場で書かれるので「仏壇の中の棚の上に花瓶や蝋燭立をお飾りするのが正式です。」という説明になってしまうのですが、現実問題としてその通り再現できないことは多いです。
大きなお仏壇をお持ちの方とか、花瓶のサイズが棚に合ってるとか、できる環境の方はやって頂いたら結構ですが、出来ない方は無理をする必要はありません。
お飾りするものについて
仏花
四季の花をお供えしますが、トゲや毒、悪臭のある花は避けましょう。
線香
線香をあげる意味を解説した時にも説明しましたが、線香は香りのよいものを使いましょう。
線香は香炉に入る適当な長さに折って寝かせてお供えします。
お線香は香りの良いものを用意したいですね。
白檀・沈香・伽羅などの香木を使ってつくられたお香は本当に香りがいいですよ。
お坊さんがオススメするお線香やお香をまとめましたので、こちらの記事もどうぞ!
蝋燭(ろうそく)
蝋燭のことを灯明といいます。
興正派では基本的に朱の蝋燭を用いますが、白の蝋燭で代用してもかまいません。
- 朱蝋(しゅろう)・・・年忌の法事、報恩講など。
- 白蝋(はくろう)・・・普段のお勤め
- 金蝋・・・仏前結婚式などの慶事
- 銀蝋・・・通夜、葬式、告別式等(白蝋で代用可)
まとめ
基本はこの2種類だけです。
平常時は三具足。
法事の時は五具足。
他宗派の方は参考程度に読んでくださいね。
宗派によって使う道具や形が違うので親戚どうしで確認するのではなく、「わからないことは檀那寺さんに聞く」これが1番です。
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