こんにちは、善照寺住職のへんも(@henmority)です。
葬儀や法事などでお坊さんと関わる時に1番困るのがお布施の問題。
相場もわからないし、どのぐらいつつめば妥当なのか検討がつかない人も多いですよね?
と勇気をもって住職に尋ねてみても、
お気持ちで結構ですよ。
それがわからんから聞いとるんじゃーいっ!!
とお困りの方も多いことでしょう。
明確な答えもないし、謎の多いお布施。
本記事ではお布施とは何か?相場や金額はどうやって決めるのか?について解説致します。
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お布施とは何か?お布施の意味
一般的にお布施は読経をしてもらった僧侶に対して金品を渡すものと思っておられるのではないでしょうか?
実は、それだけではないんです。
お布施というのは人に施しを与えるという意味の修行のひとつです。
「お布施=お金」と思うかもしれませんが、実は3種類のお布施があります。
- お坊さんが読経をしたり、法話をすることは法(教え)を施す「法施(ほうせ)」
- 法を説いてもらった方に衣服や食事を用意する(今は金銭や物品ですね)「財施」
- 相手をいたわる優しい言葉をかけたり、笑顔で接する「無畏施(むいせ)」
これら全部がお布施であり、お布施のポイントは互いに見返りを求めないということ。
お互いできないことを施しあい、施される側ではなく施す側の喜びになっているところがポイントです。
お布施は研究費の援助のようなイメージ
語弊があるかもしれませんが、わかりやすく言えば僧侶はもともと「人生の研究職」といえます。
人間はどういうわけか生まれてきて、老いて、病気になって死んでいく存在です。
そのような人生において、どんな物の見方や考え方をすれば苦難の多い人生を生ききれるのか?
そんな「いのち」というものを深く研究するのが僧侶だったわけです。
研究職なので経済的な価値、すなわちお金を生み出す存在ではないんですね。
しかし、研究のためには活動資金も必要ですし、食料や生活のためのお金も必要です。
そこで、研究の成果を一般の方に伝え(法施)そのかわりに僧侶の活動を一般の方が資金援助して活動を支える(財施)と考えてもらうとイメージしやすいでしょうか。
ですので、お経や法話をした1回のサービスに対する対価とはそもそもの成り立ちが違います。
お布施は1回の葬儀や読経の代金というよりは、長期視点でのお寺や僧侶の活動を保護するための寄附をしているという意味ですね。
お布施は仏教を伝えていくために使われる
お布施は菩提寺のお坊さんがお参りに来た時に渡すことになりますが、そのあとお布施のお金はどのように使われるのでしょうか?
▼お布施がどのように使われるか、お布施の使い道はこちらにまとめてあります。
直接的にはお布施をおさめた寺院の運営費用として使われますが、もっと広い視点でも見ることができます。
各寺院を守ることは教団の維持につながり、それは文化財の保護や貴重な歴史的資料を保存し日本の文化を守るというところにもつながります。
教団というと何か胡散臭いとかいろいろイメージがあるかもしれませんが、文化財や歴史的資料は集団で保管しないと守ることは不可能です。
お布施はそのような広く仏教を後世に伝えるための施しという意味をもっています。
お布施は手放すトレーニング
お布施は修行のひとつといいましたが、わかりやすく言い換えると自分の執着するものから「自ら手を離すトレーニング」とも言えます。
なので、出す側が「とまどう」とか「どうしたらいいか困る」というのは当然のことなのです。
えっ空っぽ(笑)そんなことあるんですねー!
お布施って相場がわからないんですよね。ガイドラインがあると分かりやすいと思います。あとお経や法話の内容に対する出来高とか(笑)
— ベランダゴーヤ研究所⌘カタオカ (@peterminced) 2018年9月10日
確かにガイドラインがあればわかりやすいですが、ガイドラインがあることで逆に困らせてしまうこともあります。
例えばお寺の運営に必要なお金を算出して均等に負担を割った結果、一律に10万円と決めたとしましょう。
同じ10万円でも年収1億の人にははした金かもしれませんが、年収100万の人には命に関わる金額ですよね。
ちゃんと法事やお参りもしたいのに、一律10万円と決めてしまうとできなくなる人だっています。
そういう貧富の差が理由で仏教とご縁がとぎれることがないように、やはりお布施は「お気持ちで」でいいのです。
お布施の金額はどうやって決めるの?
ここまでの説明でおわかりいただいたと思いますが基本的にお布施の金額は自分で決めるものです。
金額をどのくらいにするかは
う〜んちょっときついかも・・・
というぐらいが目安という方もいました。
修行という意味では、「その人にとってちょっときついかも」を手放すことに意味があるのです。
そしてお布施は「喜捨(きしゃ)」とも言われ、見返りなく人のためにお金を使う=他人に喜びを与えられることが自分の喜びになるという心を育てる意味があります。
裕福な人や稼いでいる人は他の人の分も金額的に多くだし、貧しい人は無理のない程度に。
均等割した「料金」として負担するのではなく、そうやって負担が流動的になることでお寺が維持されてきたわけです。
ですので本来のお布施の意味では相場というものはないですし、それぞれが決めて包めばそれでいいんです。
残念なことに、おあずかりしたお布施をお寺の運営や地域貢献、檀家さんへ還元する方向ではなく、住職個人の贅沢のために散財する派手な僧侶もいますから、そういうお寺にはお布施を出したくなくなる気持ちもわかりますが・・・。
実際問題、お布施に相場はある。
ここに書いた事は基本的なお布施の考え方ではありますが、現実社会の中ではある種の理想論かもしれません。
現実的には相場のようなものもありますし、宗派によっても違いますし、地域的な金額の差はものすごくあります。
お寺によってはお布施の金額を決めて請求するところもありますし、その方がわかりやすくて評判がいいというところもあります。
逆に設定された金額が高くてキツすぎるというところもあります。
お布施の相場は地域によってかなりの開きがあります。
菩提寺の住職に聞いてみて、こたえてもらえなかったら地域の年配の方や葬儀業者の方に聞いてみるのも良いかもしれません。
善照寺では言葉通りお気持ちで
うちのお寺はこのお布施の成り立ちや心が本来のあり方だと思って運営してますから、お布施を「請求」することはないし、金額を明示することもありません。
包んで頂いた分だけでお寺の活動を運営させてもらっていますし、金額が少ないからといって何か差をつけるということもありません。
いただいたお布施の中身が空だったとしても問い合わせもしませんし、100円でも100万円でも同じようにお勤めさせてもらいますよ。
まあ実際問題、みんなが
お!
このお寺は100円でいいらしいぞ(・∀・)!!
って本当に100円しか包んでくれない人ばかりになったらお寺は潰れますが…。
お布施についてーまとめー
お布施が高すぎる!
と感じるのは僧侶側の努力不足にも原因があります。
この人からお話を聞きたい。
この人にお勤めして欲しい。
このお寺は応援したい!
と感じてもらえるだけのはたらきができていないということですから。
うちのお寺もお気持ちで包んでいただくお布施でお寺が運営できない状態になるとしたら、それは自分の努力不足だと思って活動しています。
多くのお坊さんは世の中がよくなるように、また檀家さんやお参りにくる方の人生がより充実するようなお手伝いができればと思って活動しているはず。
今までお寺とご縁のなかった方は、まずはご自身の菩提寺になるお坊さんといろいろお話してみてください。
ただ、その住職とどうにもあわないということもありますから、そのときは信頼しておつきあいできるお坊さんを探してみてくださいね。
もし、うちのお寺のことをもっと聞きたいという方はお問い合わせのページからご連絡ください。
お布施っていくらぐらいお包みしたらいいのでしょうか?