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お寺の本堂で現代サーカス|UKIMO-PROJECT-第1回制作公演のレポート

2025年3月1日、善照寺本堂にて、現代サーカスの新たな可能性を探るイベント『UKIMO-PROJECT Work in Progress』が開催されました。

ざっくりいうと、サーカスの作品を作る過程を楽しみながら見てもらって、アーティストがどんな視点をもっているかどんなことを考えているかを体感していただくイベントとなっています。

来年2026年には本公演が控えており、その作品づくりの初期段階のパフォーマンスが善照寺本堂にて開催されました。

本堂で繰り広げられる圧巻のパフォーマンス

本堂内には瀬戸内の銘石・庵治石のオブジェが配置され、おごそかな雰囲気の中でパフォーマンスが繰り広げられました。

住職によるお勤めに続いてアーティストの演技がスタート。

出演者の麻風さんは大きな旗を、谷口界さんはアクロバットをしたり、シルホイールを使って空間を縦横無尽に動き回ります。

シルホイールは大きな金属製の輪っかを使ったパフォーマンスで、輪の中に人が入って回転するダイナミックな動きが魅力です。

麻風さんの操る大きな旗は雲のように形を変えたり、時には滝のように流れ落ちたりして、庵治石との対比が枯山水のような風景を生み出します。

旗の揺らめきが空間の中にある目に見えないものの形を取り出すようで、観客の目を引きつける美しいシーンが生まれました。

本堂という限られた空間の中では観客とアーティストの距離が近いため、アーティストの息遣いや衣擦れの音までが鮮明に伝わり、命の躍動ともいえる緊張感に観客は息をのみます。

シルホイールの回転が生むダイナミズムやアクロバットのしなやかな動きからは、日常生活の中には見つけられない微細な感覚が刺激されます。

旗とアーティストの動きが呼応する瞬間には、静と動のコントラストが際立ち、会場全体が作品の一部となるような感覚に。

本堂という特別な場が持つ空気感とパフォーマンスが見事に調和し、唯一無二の舞台が展開されました。

伝統と革新が交錯する特別な時間寺院の本堂という伝統的な空間と、現代サーカスという革新的な表現が交わることで、体育館や劇場とはまた違う魅力的な空間が生まれたように思います。

観客は、ただパフォーマンスを「観る」のではなく、その場の空気や流れを「体感」していました。

特別な空間でしか生まれない、濃密なひとときでした。

公演後の座談会-庵治石の魅力を語る

公演後には、今回の作品のために庵治石のオブジェを用意してくださったオオクボエンタープライズ代表の大久保一彦さんと、出演者の谷口界さん、麻風さんによる座談会が行われました。

大久保社長は、庵治石が「最高級」と呼ばれる理由について、その採石の難しさや厳選の過程を熱く語っていただきました。

山から採れる庵治石のうち、最高級と名乗る以上はその素材は厳選に厳選を重ねます。

山で100個石が採れたとしたら、そのうち3%しか市場にだせるものにならないという話は聞いていて驚きでした。

また、庵治石の内部には8000万年前の地球の営みが刻まれており、職人たちはその「歴史を削り出す」ようにして加工しているとのこと。

さらに、石を採る人々が山を「お山」と呼び、石を「いただく」という表現を使うことにも触れ、採石が単なる産業ではなく、自然と向き合いながら続けてきた営みであることが伝わってきました。

また、谷口さんからは、庵治石の持つ質感や重さがパフォーマンスにも影響を与えたことが語られました。

実際に舞台上で使用された石の存在感が、演者の動きに変化をもたらし、集中力を高める要素にもなったとのこと。

石の重みがあるからこそ生まれる独特の緊張感は、観客にも伝わっていたに違いありません。

まとめ

空間、素材、身体表現が見事に交わり、美しい空間が成立していたように思います。

来週3月8日(土)には第2回の公演が開催される予定で、そちらもとても楽しみになりました。

次回は公演の内容や表現が変わりますし、ワークショップもございますのでぜひ遊びにきてください。

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お問い合わせ先
丸亀市文化振興協議会
電話:0877-24-8822

主催:丸亀市文化振興協議会、丸亀市
企画:UKIMO-PROJECT
美術:(株)オオクボエンタープライズ
協力:善照寺、(一社)瀬戸内サーカスファクトリー、六代目合田たたみ店