ご葬儀が終わると遺骨・白木の仮位牌・遺影を自宅に持ち帰ります。
そのとき葬儀屋さんが遺骨を安置する棚(中陰壇・後飾り)の設置をしてくださる事がありますが、作法ではない飾り方になっていることも多くあります。
葬儀屋さんは様々な宗派の方を対応するので、各宗派ごとの作法に対応するのは難しいことでしょう。
中陰壇の飾り方をネットで検索しても浄土真宗の教えでは不適切な飾り方を解説しているサイトも多くありますので、こちらの記事で詳しく解説いたします。
本記事では浄土真宗のご門徒さんむけにご葬儀が終わってから四十九日の法事までの期間における中陰壇や仏壇の飾り方を解説します。
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葬儀後〜四十九日までの仏壇と中陰壇の飾り方【浄土真宗編】
葬儀が終わってから四十九日の法事までの期間に遺骨や白木の仮位牌を安置する棚を中陰壇(ちゅういんだん)や後飾りといいます。
中陰壇を設置する場所
中陰壇はお仏壇の手前の左右どちらかに設置します。(遺骨を置いてある白い棚が中陰壇です。)
この中陰壇はご葬儀を担当した葬儀社によってレンタルしてくれるところもありますし、葬儀プランに料金が含まれていて買い取りになっている場合もあります。
白木の台や銀色の紙でコーティングしたダンボール製のものが用意されることが多いですね。
お仏壇をお持ちでない方はご本尊の阿弥陀仏のお軸を壁に掛けて、その前に中陰壇を用意しましょう。
お仏壇も四十九日のご法事までにご用意いただいた方がよいかと思いますので所属寺院のご住職ともご相談ください。
中陰壇の飾り方
中陰壇の上にお飾りするのは以下の3つ。
- 遺骨
- 法名(白木の仮位牌)
- 遺影
これを読んでいる99%以上の方は遺影や遺骨の前にお線香やお供えをしたいという気持ちだと思います。
しかし、浄土真宗では遺骨の前に線香や花などは飾りません。
中陰壇の上には遺骨・法名(白木の仮位牌)・遺影の3つだけを安置し、ろうそくやお線香などの道具はお仏壇の方へお飾りします。
浄土真宗では故人を浄土に生まれた仏さまの1人として受け止めるという考え方をします。
亡くなられた後は即座に仏の世界に生まれ浄土におられると考えますので、お香やろうそくなどのお飾りをはじめ読経もお仏壇のご本尊の前でおこなうのです。
葬儀屋さんから購入するセットには渦巻き型の線香や香炉などの道具がついてくる場合がありますが、通常の仏壇のお飾りを使えば良いので購入する必要はありません。
昔は四十九日の法事まで線香を絶やさないという考えがあり、それにならって長時間お線香を焚いても手間のかからない渦巻き型のお線香を使うようになったようです。
しかし、現代の家の機密性の高さや安全性の面、セットでついてくる渦巻き線香の香りの質から考えてもあまりオススメではありません。
いわゆる普通の棒状の香りのよいお線香をお供えいただいたら良いでしょう。
中陰壇は自前で用意しても大丈夫です
葬儀屋さんで中陰壇を用意してもらうとある程度の金額がかかります。
料金プランに入っている場合は仕方ないかもしれませんが、オプションの場合は中陰壇や道具の費用を外してもらえばその分費用をおさえられます。
中陰壇は四十九日の法事までの期間だけ使う仮の棚です。
法事が終われば撤去するものですので自作の簡易なものでかまいません。(購入するとしても簡易な棚の場合が多いです。)
高さ40〜50cm程度の台の上に白布をかけて遺骨や位牌を安置できるようにしましょう。
写真のように自作したものを設置するので十分です。
打敷(うちしき)
仏壇に飾ってある打敷(うちしき)は裏返して白い面を使います。
ろうそくや香炉の飾り方
お花・線香・ろうそくは中陰壇ではなくお仏壇の方にお飾りします。
飾り方は平常時のお仏壇の飾り方と同じ三具足で飾ります。
色花を入れるのは気持ちが落ち着かないという方は白い花をお供えされたら良いですね。
法事の仏壇の飾り方はこちらを参考にしてください。
四十九日の法事が終わったあと
四十九日の法事が終わったら中陰壇は撤去します。
レンタルの場合は返却し、ダンボールの場合は片付けるか自治体の分別方法に従って処分します。
遺骨
遺骨は墓地、もしくは納骨壇などに納骨します。
四十九日の法事の時に納骨される方も多いですが、難しければ別の機会でもかまいません(百か日・一年忌・三回忌など)。
気持ちの整理がつかない場合もありますし、お墓の準備や土地の問題(墓地が遠方だったり、古いお墓を整理したいなど)すぐに納骨できない事情があることもあります。
墓地・埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)にも納骨時期に関して規定はありませんので、ご家族・ご親族のお気持ちが納得できるタイミングで納骨していただいたらいいですね。
そのときはお仏壇の近くに台を置いて遺骨を保管しておきましょう。
位牌
四十九日の法事までに白木の仮位牌から過去帳や繰出しの位牌に法名を書き写します。
使用済みの白木の仮位牌はお坊さんに引き取ってもらいましょう。
浄土真宗では過去帳を使うのが正式な作法です。(といっても実際は地域によって繰り出しの位牌を使っている所も多いです。)
ご自身で記入頂いてもかまいませんが、住職にお願いして書いてもらうと良いでしょう。
遺影
遺影は特に決まりがありません。
お釈迦様の時代にはもちろんなかったものですし、基本的に仏教とは関係がないものです。
部屋の壁などにかけて飾っておく方もおられますし、片付けていただいても結構です。
壁にかける場合はどこにかけていただいても構いませんが、お仏壇の真上は避けましょう。
やはりご本尊が一番大切ですので仏壇の真上に飾るのは避けた方がいいですね。
葬儀後から四十九日までのお仏壇と中陰壇の飾り方まとめ
葬儀屋さんで提案していただくものはいろいろな宗派の考え方が混ざっています。
浄土真宗の作法では必要無いものが多くありますので、この記事と所属寺院のご住職にご相談してお飾りしてみてくださいね。
また、49日の法事が3ヶ月にまたがってはいけないという方がおられますが、まったくの迷信なので気になさる必要はありません。