午前の部と同じく僧侶による「お勤め」と、パフォーマーによる「ジャグリング」、そして「お話」で構成されていますが、より幻想的でアートな空間になりました。
住職とパフォーマーによる対談も文字起こしして要約を載せてありますのでどうぞご覧ください。
「おつとめ午前の部」のレポートを読んでおられない方は先にこちらからどうぞ。
タップできるもくじ
「仏教×パフォーマンス おつとめ」午後の部
午後の部プログラム
午前の部は大道芸的で明るく楽しい雰囲気でしたが、午後の部はより大人向けの演出です。
- お勤め(十二礼など)
- ルームキッズショー
- 住職×ルームキッズ岡本晃樹さん対談
- ルームキッズ岡本晃樹さんプレゼンテーション
- プロデューサー挨拶
▼梵鐘の音ともに開門。
1.お勤め
お寺の通常の法要の時にも法要開始の合図となる喚鐘を打ち鳴らし「おつとめ」午後の部がはじまりました。
この鐘の音を合図として、僧侶が本堂の中に入っていきます。
▼本堂内の照明も落とし、一気に厳粛な雰囲気になります。
▼内陣はライトアップ。外が暗くなった分、本堂内がより印象的な演出に。
▼七条袈裟もつけて衣装も豪華です。
▼副住職とともに十二礼というメロディアスなおつとめを致しました。
2.ルームキッズパフォーマンス
お勤めが終わり、住職・副住職は退場。
しんと静まりかえった本堂の中、静かに音楽が鳴り始めます。
▼映像とともにルームキッズ岡本晃樹さん登場。
ルームキッズとはジャグリングパフォーマー岡本晃樹さんとテクニカルオペレーター山田タカマサさんによるパフォーマンスユニットです。
▼スクリーンに映し出される映像にあわせてジャグリングのパフォーマンスが繰り広げられていきます。
▼スクリーンに映された映像と、体と道具で表現されるパフォーマンスが融合して不思議な浮遊感を生み出していました。
▼音楽や映像の変化にともなって動きもどんどん変化。
▼世界が広がっていきます。
▼ただ「投げる」「とる」という動作だけではなく、さまざまな動きが複雑に組み合わさって、まるでボールやリングが意思を持った生きもののようでした。
3.住職×岡本晃樹さん対談
パフォーマンス後小休止をはさみ、住職と岡本さんの対談に。
お勤めからパフォーマンスまでをふり返って話をしていきます。
はじめてお寺のお勤めをご覧いただいたと思うのですが、いかがでしたか?
お勤めの時にはへんもさんの普段しゃべっている声ともまた違う声で、響きがすごかったですね。
空間としてすごいものを感じました。
こういう言い方したら神さまに失礼かもしれませんけど・・・
ここは仏様ですね(笑
あぁ、失礼しました!(笑
これが1番失礼でしたね。(焦
この空間が非常に演出されていたなぁと感じました。
実は去年の3月に祖父が亡くなったんです。
その葬儀のときにお坊さんが豪華な格好をしていて、紙をまきちらし、お経を読みながら会場に入ってくるというのを見たんですよね。
前回のその葬儀の時もそうですし、今回のお勤めを見た時も何かその空気感から伝わるものがありました。
演出という言葉を使っていいのであれば、非常に演出がなされていてとてもパフォーマンスに近いものを感じましたね。
ただ、どういったものかはやはり解説がないとよくわからないですよね・・・
今回のお勤めはどういったものなのですか??
ここは浄土真宗のお寺で、法要は基本的にすべて中心におられる阿弥陀仏を讃えるお勤めをしています。
とてもとても砕いて言うと、阿弥陀さまはんぱねぇ!マジやばい!超リスペクトっすわ〜!ということですね。
それならわかります(笑
あわせて、こちらの本堂のお飾りをみてみてください。
このお寺のお飾りを見て頂くと非常に派手ですよね?
キンキラキンですし、地味とは言えないと思います。
仏さまの浄土という世界は目に見えず、色も形もにおいもないものですから、人間に知覚できるようなものではありません。
けれども、われわれ人間にわかるような「形」になおすとするならばこんな感じじゃない?とお経の中の文言をもとに表現しているんですね。
▼こちらに詳しく書いていますのであわせてどうぞ。
われわれ僧侶が衣をまとってお勤めするのもその表現の中のひとつと言われていますね。
音楽が流れ、美しい鳥が舞い、清浄な空気がある素晴らしい光の世界だという表現を一緒に味わうことで、仏の教えに目覚めて大事なことに気づいて欲しいというはたらきがあるということですね。
平たくいえばそれはひとつの演出やパフォーマンスということになろうかと思います。
そのパフォーマンスによって人々の関心を呼び起こし教えを伝えていく、そういう役割があるのでしょう。
なるほど。
読まれているお経の言葉の意味はもちろん大事ですけれども、その声や音を通して体感覚としてその精神性が伝わるというところも大事なことなんだと思いますね。
ありがとうございます。
その話を聞かせていただくと、ぼくがパフォーマンスを作る時にもすごく通じるものがあるなと感じています。
見えない物を見るといいますか、そういうところを大事にしています。
岡本さんのパフォーマンスは身体とボールやリングを使って演じていますが、映像と身体と道具と音楽がひとつになることで、そこにとても精神性が表現されているように感じました。
その中ですごく印象的なシーンがひとつあったんですけど話してもいいですか?
どうぞ、お願いします。
泡の映像にあわせてリングを操っていた時、ずっとパフォーマンス中に浮遊感を感じるような印象だったのですが、最後のところにリングを手で下げるシーンがありましたよね?
とても短いひとつの動作なのですが、それまで浮遊感を感じていたのに急にこちらの体まで重くなったかのように重力を感じる表現だったと思いました。
実はそこはぼく自身がこだわっていた部分でして、そういう風に着目していただけるとすごく嬉しいですね。
ジャグリングにはダンスや演劇にはない特徴がありまして、そこがすごく良いところだと思っています。
それは「身体」と「道具」がないとできない相互作用があるということなんです。
道具が生きているようにみえるとか、ありえない動きをするというところは身体との関わりによって起こるんジャグリング特有のものですよね。
身体と道具がつながったオンの状態と、体から離れて命を失ってただの物体に戻るオフの状態の表現に非常にはこだわりをもって作っていました。
体と関わることで物に命が吹き込まれ、体から離れることでまたただの物体に戻る。
その部分にはすごく表現として気を使っていますね。
そのあとも映像との組み合わせによって、違う表現がいろいろとでてきましたよね。
同じリングという道具を使っているのに、幾何学的でソリッドな印象のパフォーマンスもありました。
それぞれのパフォーマンスが何を意味しているかというのはお客さんによって受け取り方が違うと思いますが、岡本さんの中に明確なイメージの違いがあり、違う精神性を表現していることはすごくよく伝わりました。
ありがとうございます、そこまでおっしゃって頂くとこの後のプレゼンで話しづらいですね(笑
岡本さんの頭の中にあるイメージをそのまま受け取れているかどうかはわかりませんが、少なくともそのイメージの断片のようなものを動きや表現のなかから感じることができました。
4.岡本晃樹氏プレゼンテーション
通常のお寺の法要というのは次のように進みます。
- 僧侶が集まって読経
- 講師による法話
岡本さんのパフォーマンスは抽象的な表現も多く、不思議な世界観がありました。
そのパフォーマンスのことをふくめ、普段どのような作品を作っているのか?
また、作品制作にあたっての課程や着想方法などをお話いただきました。
5.プロデューサー挨拶
今回このおつとめの企画・制作をさせて頂いた山本健一と申します。
本日はご来場ありがとうございました。
午後の部はある程度お客さんの対象を絞っていて、大人・アーティスト・ジャグラーのみなさんにいろいろなことをお伝えしたいなと考えていました。
ジャグリングをしないアーティストの方には、もっと身近にジャグラーを感じて欲しいんですよね。
アートとしてジャグリングを見た時に、ジャグラーは意外と広く物を考えていることを知っていただきたかったのです。
ジャグリングと一言でいっても結構幅があるんです。
今回のようにアーティスティックなものもあれば、大道芸としてやろうとしている人もいる。
スポーツとしてやろうとしている人もいる。
パフォーマーによる解説や制作の裏側も共有することで、もっとコラボレーションの余地があるということを知って頂きたいと思っていました。
ジャグラーの方にも知っていただきたかったことがあります。
ジャグリングにはいろんな可能性があって、その可能性を追いかけていくうちにいろいろな出会いや学びにふれて世界が広がっていくおもしろさを感じて欲しいと考えています。
今日の学びや気づきがみなさんの血肉となって、またどこかで花開くことがあればいいなと思っています。
本日はまことにありがとうございました。
「仏教×パフォーマンス おつとめ」午後の部まとめ
午前の部と明らかにテーマを変えて開催した午後の部。
午前の部と両方見ていただいた方はその世界観のギャップに驚かれたのではないでしょうか。
本堂という同じ空間で、同じ「お勤め」と「ジャグリング」と「お話」を使って、こうも違う空間になるかとぼく自身も驚きました。
午後の部の話には難しい部分もありましたので、お客さんの中には消化不良だった方ももしかしたらおられるかもしれません。
しかし、現場でしかあじわうことができない空気感や緊迫感、音、震動、厳粛さというものから何か感じとってもらえたならば幸いでございます。
実験的ではありましたが「仏教×パフォーマンス」という形でイベントを開催し、またそれを言語化することによって大変学びの多いイベントとなりました。
第2回も計画していきますので、今回来られなかった方もお楽しみに!
イベントの写真について
「おつとめ」の素敵な写真はroute24 designの西川博喜さんに撮影のご協力を頂きました。
何か写真撮影の依頼等があればroute24 designにお問い合わせくださいませ。
イベント当日にはジャグリング関係の方に県外からもお手伝いに来て頂き、設営やお客さんの案内などご尽力いただいたおかげで滞りなく開催することができました。
この場を借りてお礼を申し上げさせていただきます、本当にありがとうございました。