こんにちは、善照寺住職のへんも(@henmority)です。
楽しみながらお寺や仏教にふれてもらいたいという願いから、善照寺では「仏教×〇〇」という形でさまざまなコラボレーション企画をおこなっています。
今回は「仏教×パフォーマンス」! 善照寺に縁のあるパフォーマーの方たちにご協力いただいて、仏教とパフォーマンスの融合イベント第2回「おつとめ」を開催いたしました。
「おつとめ」は午前と午後の部の2部構成。 お寺の本堂という同じ場所なのに、朝と夜では内容も雰囲気も違う空間を楽しんでもらえるようなイベントになっています。
まずは午前の部のレポートからお伝えしますよ!!
タップできるもくじ
第2回おつとめ午前の部レポート
ざっくり見たいという方は副住職が動画にまとめてありますのでこちらをごらんください。
▼前回は本堂の横の面にステージを作りましたが、今回は正面がパフォーマンスエリアとなっています。
▼まずはお客さんとともに本堂での勤行からスタート。
▼こどもたちも一緒におつとめをします。(上3枚の写真協力:√route24 design西川さん)
住職あいさつ
お寺の伝統的な法要は、まず僧侶が集まって読経をし、その後講師の僧侶による法話がおこなわれます。
- 勤行・・・読経
- 法話・・・僧侶によるお話
しかし近年、全国的にみてもお寺の法要にお参りする方の数は大幅な減少傾向にあるんですよね。
伝統的なお寺のやり方を続けることはもちろん大事ですが、その伝統的な方法だけでは現代の方に伝わらない時代です。
伝えるべきことを伝えるために、伝統を大事にしながらも変化・工夫をしなければなりません。
そこで、この「おつとめ」では善照寺に縁のあるパフォーマーの方の力をお借りして、楽しく学べる時間を作っています。
ショーにでるようなパフォーマーはお客さんが楽しめるようさまざまな工夫や考えをもってショーを構成しています。
そのパフォーマーが何を表現したくて演目を作ったのか?何を伝えたくてその演技をしたのか?
演目のねらいや背景を言葉で聴ける機会はほとんどありません。
イベントやショッピングモールで芸人さんのパフォーマンスを見た時には「あ〜楽しかった!」で終わってしまいます。
しかし今日は先にパフォーマンスをみて、その後話を聞いて学ぶというただ楽しいだけではない学びの時間を過ごしてもらいたいということをお話させていただきました。
パフォーマンススタート
1.大道芸人れもんさんのパフォーマンス
最初はれもんさんのディアボロを使ったパフォーマンスから。
▼音楽にあわせてディアボロが中を舞います。
れもんさんは喋りながら芸を見せていくスタイルを得意としています。
しかし今回はれもんさんにも挑戦をしていただき、新たな作品を作ってきてもらいました。
2.縄のまっちゃんのパフォーマンス
続いて縄のまっちゃんの演技。
最初の動画を見ていただくとわかると思いますが、ちょっと想像を超えた縄とびをみせてくれます。
▼写真では映らないぐらいのスピードで迫力のある演技を見せてくれました。
▼縄が手を離れて生きもののように空間をビュンビュンと動きまわります。
3.大道芸人れもんさんのバルーン
また演者が変わってれもんさんへバトンタッチ。
ビバルディの「冬」をアレンジした楽曲を使ってバルーンアートの演目をみせてくれました。
▼音楽のテンポとどんどん組み上がっていくバルーン作品があいまって、ずっと目を離せない演技でした。
4.幕間 副住職とっしゃん
▼幕間には副住職が登場する一幕も。
▼ほうきをヘッドバランス。緊張感の高い演技が続くので箸休め的役割。
5.まっちゃん創作作品「なわとびの罪」
最後はまっちゃんの縄とびを使った創作作品「縄とびの罪」。
こどもが縄とびを手にした時に振り回したり遊んだりして感じる「楽しい」という感情を大人の強制力や型にはまった指導で押さえつけていないだろうか?という疑問をなげかける作品でした。
▼学校の先生と縄とびで遊んでいて怒られる生徒を1人で2役演じます。
ストーリーをザッと説明すると以下の通り。
演技の中には2重跳びの練習ばかりをやらされてだんだん縄とびが嫌になるこどもが登場します。
何度も失敗しては「練習」をやらされて、縄とびがつまらないものになっていくんですね。
でも、練習はいやだけど縄とびを振り回したり、ピュッと引き上げてみたり、縄をつかって遊ぶのは楽しいんです。
その様子が先生に見つかったら「ちゃんとやれ!」とばかりに怒られます。
そうやって先生の目を盗んで縄で遊んでいるうちに、だんだんと縄の扱いがうまくなって難しい縄とびができるようになるというストーリーでした。
演目の中にはこどもが縄で遊んでいる動きから発展したような、縄を手放すような技がたくさん入っていました。
なわとびカードにかかれている「真面目な種目」だけが縄跳びじゃない。
▼こどもが縄とびをつかって楽しく遊んでいる延長にもっと広い世界があることがすごく伝わる作品でした。
〜ちょっと休憩〜
トークセッション
後半は学びの時間。
今回の「おつとめ」では、れもんさんとまっちゃんに諸行無常(しょぎょうむじょう)、自然(じねん)という2つのテーマをお渡しして、それに沿った作品を作ってほしいとお願いしていました。
仏教的な意味に限らず、その言葉を聞いて自由に解釈して作品を作ってくださいと伝えていました。
※以下の会話は演者の意図をくみ取り、ブログ用に編集して掲載しています。
諸行無常というテーマと、風船がそれっぽいから風船の演目をやれ、というメッセージをいただきました(笑
うつり変わらないものはないということを表現するために、風船の演目の中に手品の手法や風船の技術をできるだけ盛り込んで、目を離すとおいてけぼりになってしまうような、常に今を楽しんでもらえるような演目にしました。
風船をひねるスピードもふだんより速くして、今しかないんだ!というリアルタイムな感じが伝わればいいなと思いました。
風船というのは長くても2〜3日もてば良い方で、すぐにしぼんだり割れたりして諸行無常という言葉をすごく感じるんですよね。
そんなイメージで風船の演目はどうかなぁ?となげかけたのですが、れもんさんの解釈で刻一刻と状況がかわっていくということをうまく表現してくれたなと思います。
こんかい自然(じねん)ということばをいただいて、こどもたちにとって自然体ということを表現しようとしました。
こどもたちにとっては縄とびをもつと振り回したり遊んだりするのが自然なんですよね。
今回発表させてもらった「縄とびの罪」の中では縄とびカードに沿って、枠にはめた形で練習させる先生が登場しました。
でもそれってこどもたちにとってみれば不自然な形なんですよね。
作品の中では2重とびに失敗していたこどもが、縄とびで楽しく遊んでいるうちにいつのまにか2重とびをとべるようになっていました。
ものごとの上達や理解を深めるためには、自分のやりたい形や楽しめる形で取り組むことが大きなポイントだと思っています。
こどもへの接し方に正解はありませんが、大人が高圧的な接し方をするとこどもはどういう反応になるのか?
ということは作品の表現の中から感じてもらえればと思います。
他にもパフォーマンスの時に気をつけていることや大事にしていることはありますか?
やっぱり先ほど話した「楽しい」ということが重要ですよね。
それから自分がその芸を好きかどうかということもとても大切です。
場所ごとに絶対にウケるネタっていうものがあるんですが、それが自分が好きかどうかはまた別問題なんです。
ステージでは自分が好きな芸しかもっていかないようにしています。
自分が好きで楽しいものやって、その結果お客さんも楽しいと感じてもらえるのが一番幸せだなと思いますね。
え〜と・・・
少し間があいたことでお客さんがまっちゃんに注目
ぼくがえ〜と・・・って間を開けたことでみなさんが注目してくれましたよね?
これは意図的に間を作っていたんです。
縄とびで3重とびぐらいは学生さんでもできる人はたくさんいますが、それを作品としてお客さんにとどけるには間の作り方や構成が大事になります。
これは料理の材料をどのように調理するのかということと一緒なんです。
「かぼちゃ」とか「じゃがいも」といった素材を素材のまま手渡されても困惑しますよね。
スープにするのか、煮付けにするのか・・・みたいに、間を作る技術や構成の仕方によって素材をお客さんが受け取れる形に調理することが大事です。
いきなりすごい技をやっても「へ〜」で終わってしまいますが、お客さんとのコミュニケーションの中で、どうやって楽しんでもらえるかをよく考えることを大事にしていますね。
などなど、すべては紹介できませんがとても興味深い話しがたくさん聞けました。
▼こどもたちからの質問やお客さんからの質問にも答えていただいて、最後はこどもたちもステージに参加していっしょにまっちゃんと縄とび。
▼順番に並んで縄跳びを跳ばせてもらって、はい、まっちゃんポーズ!(写真協力:√route24 design西川さん)
おつとめ午前の部まとめ
縄のまっちゃん、大道芸人れもんさんのおふたりの力、ならびに裏方としてお手伝い頂いた方の協力によってとても学びのあるいいイベントになったのではないかと思います。
パフォーマンスはもちろんのこと、実際にプロとして活動している人の言葉には重みがあって説得力がありました。
最後にれもんさんの話の中にとても大事なことがあったので紹介しておきます。
れもんさんは風船のレシピはできるだけ自分で考えていて、オリジナルのものを作らないと後味が悪いということを話していました。
ネタとかレシピをパクると、パクった側のほうが心苦しいというか後悔が残ると思うんですよね。
例えばカンニングって見られた方はいたくもかゆくもないんですけど、カンニングはやった方はいい結果にならないというかずっと心残りになるんですよね。
先輩のショーのネタとか、絶対ウケるネタってのをそのままやったらちゃんとウケるし場は成立するけど、それはやっぱり自分のショーじゃないんです。
自分のショーは自分の考えたものや、自分の好きなものをやることが一番大事ですね。
学びの中ではマネをするということはとても大事なことです。
だけどそれだけではだめなんですよね。
きちんと教えや伝統を踏まえながら、うちのお寺でしかできないオリジナルなものを作っていかなければならないなと改めて感じたことでございます。
▼ご来場いただいたみなさま、ご協力いただいたみなさま本当にありがとうございました。(副住職・大道芸人れもん・プロデューサー松葉川健一・縄のまっちゃん・住職)
そして午後の部へ。
こちらもどうぞ!
ヨッセンスや英語びよりを運営している香川No.1ブロガーのおつとめについて書いてくださりました。
お坊さんでもジャグラーでもない方がこのイベントに参加してどう感じたのか、めっちゃわかりやすくまとめてくれています。
こちらもあわせてお読みいただけると嬉しいです!