こんにちは、善照寺住職でお坊さんブロガーのへんもです。
お仏壇に参る時、お線香の本数や立て方は皆さんよく気にされます。
しかし、そもそもなぜお線香をあげるのか?という線香をお供えする意味を知っている方はとても少ないように感じます。
本記事では線香の意味とお供えの仕方【浄土真宗編(真宗興正派)】を解説しています。
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線香をお供えする4つの意味
お香は2500年以上前から使われており、仏教とも深い関係があるんです。
仏前で線香を焚くのには主に4つの意味があります。
- よい香りを仏さまにお供えして感謝の気持ちを表す
- お香の力で自分自身を浄める
- 浄土の清浄な世界を表現する
- 仏の智慧がわけへだてなく広がることの表現
感謝の気持ちを表す
現代は手頃な価格でお線香を購入できますが、お香は本来貴重なものでした。
香りのよいお香をお供えすることで、感謝と尊敬の気持ちを表現しています。
自分自身を清める
お線香の香りには尊い仏さまに参る前に自身の身を清めるという意味があります。
尊敬する仏さまの前に参る時に臭い体臭で参るのは失礼ですから、少しでも良い香りで参らせていただくという意味があります。
浄土の清浄な世界の表現
お経典の中にも阿弥陀仏の浄土の世界には清浄な風が吹いていると説かれています。
仏さまの世界の清浄な空気があることを表現しています。
仏の智慧がわけへだてなく広がることの表現
お香の香りはわけへだてなく広がっていきます。
その様子から、仏さまの智慧や教えが広がっていくことを表現しています。
お線香は良い香りのものを使うのが大事
このような4つの意味を考えると、一番大切なことは「よい香りの線香をお供えする」ということです。
お線香は煙がでたらOKと考えている方もおられるかもしれませんが、尊い仏さまに献上するという意味を考えると煙臭いものをあげるなんて失礼ですよね。
お焼香の意味も同じことがいえます。
値段が高ければ高いほどよいというわけではありませんし、(お香の高いやつは天井知らずです。)好みもいろいろです。
ですから、選ぶ目安としては「自分はこの香りが好きで、毎日焚きたい。部屋がこの香りになればいいなぁ。」と思う程度の線香を用意されてはいかがでしょうか?
品質のよい線香は白檀・沈香・伽羅などの香木や天然の香料を原料に作られます。
香木の線香は煙がでても目にしみたり、嫌な臭いで喉や頭が痛くなったり、ましてや部屋が臭くなったりするようなものではありません。
線香の成分に注意
線香は「香」とは名ばかりの低品質なものから、希少な高級品まで様々なものが市販されています。
廉価な線香の中には杉の葉を粉末にして固めたもの(煙が多く、主にお墓参り用等の表記)や、安く作る為に人工の合成香料が多く含まれているものもあるようです。
質の悪い合成香料を使ったものの中には、シックハウス症候群の原因でもあるホルムアルデヒド(有害な化学物質)が検出されたものもあり、目が痛い、吐き気や頭痛が起こったという事例があることも。
安い線香の全てが有害というわけではありませんし、感じ方には個人差もあるとは思います。
しかし質の悪い煙を吸い込むことで何かしら体に悪影響がある可能性はゼロではないのではないでしょうか。
線香の売り場では煙やにおいの少ない線香、無香料の線香、はてには線香用消臭スプレーというものまで見かけるようになりました。
本来お香はいい香りのものなのですが、家庭で用意される安価なお香はあまり良い香りとは言えないものもたくさんあります。
なんども言いますが、お線香で一番大事なのは香りです。
お線香は種類も多く、どれを選んだら良いかわからないならこちらの記事も参考にしてみてください。
実際に私が使ってみて良かった香りのよいお線香をまとめてあります。
お線香のお供えの仕方
線香の本数、長さ、太さ、色などに規定はありません。
▼香炉に入る長さに折り、灰の上に寝かせてお供えします。
香炉を仏壇の前に飾る飾り方はこちらの記事も読んで見てくださいね。
お線香の意味とお供えの仕方まとめ
親鸞聖人の作られた和讃の中にこのようなものがあります。
染香人(ぜんこうにん)のその身には香気(こうけ)あるがごとくなり
これをすなわちなづけてぞ香光荘厳(こうこうそうごん)ともうすなる
染香人(ぜんこうにん)というのは、よい香り(習慣)を繰り返すことで、その香り(習慣)がその人に染み込み、そして最後にはその人自身が漂わせる香り(魅力)となった人のことです。
日々繰り返すよい香り(習慣)が人や家に染み込み、良い香りに染めあげ、最後には「その人や家自身の香り」となっていくということが、線香ひとつから学ぶ事ができるんですね。
お仏壇にお線香をお供えするときに思い出していただけると幸いです。