こんにちは、善照寺住職のへんも(@henmority)です。
2019年3月31日、次の時代を担う若いゲームクリエイターを応援するイベント、ゲームクリエイター育成講座「駿馬とねっこKAGAWA」の第1回目を善照寺にて開催いたしました。
今はスマホでゲームができるようになったこともあり、ゲームの市場価値はどんどん高まっています。
Youtubeでもゲーム実況というのは人気ジャンルのひとつですし、ゲームのうまい人はプロゲーマーとして仕事が成立する時代になりましたしね。
世の中のゲームというものに対する意識や価値はこれまでとは大きく変わってきています。
そんな時代を先取るイベントゲームクリエイター育成講座「駿馬とねっこKAGAWA」をレポートします!
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駿馬(しゅんめ)とねっこKAGAWA1stとは
ゲームクリエイター養成講座「駿馬とねっこ」は「駿馬・と・ねっこ」ではなく「駿馬・とねっこ」と読みます。 「駿馬(しゅんめ)」とは足の速いすぐれた馬をさす言葉で、「とねっこ」は生まれたばかりの当歳の仔馬のこと。
今回のゲームクリエイター講座「駿馬」はゲーム業界をめざす学生にむけ、講師である馬場保仁さんの会社ファリアーが開いているイベントの総称です。
その中でも「とねっこ」は、ゲーム業界の情報にふれるチャンスが少ない地方の学生にむけて開催されるゲームクリエイターを育成するための勉強会イベントです。
▼香川での開催は今回がはじめて。
第1回目の開催は香川県や岡山県の高専生、専門学校生を中心に20名以上の学生が参加してくれました。
講師 馬場保仁さん
講師はゲームプロデューサーの馬場保仁(ばばやすひと)さん。
▼セガ、DeNAで20年以上ゲームを作ってきた凄腕のプロデューサー!
現在は株式会社ファリアーを創業して以下のような活動をされています。
- ゲーム開発
- 企業の採用サポート
- 学生の就活サポート
- 転職エージェント
- エンタメ人材の発掘・育成
- 執筆、講演活動
現在はプロデューサー兼ゲーム人材採用担当として、日本全国のゲーム開発やゲーム業界を夢見る学生を発掘、育成されています。
午前の部
おつとめ
▼まずは参加者全員で重誓偈のおつとめから始まりました。
▼講師の馬場さん、そして参加した学生も一緒に読経。
その後、住職としてご挨拶。
会場について、「なんでゲームクリエイターの勉強会の会場がお寺なんだ!?」と思った方も多いことでしょう。
ゲームとお寺というととてもかけ離れたイメージかもしれません。
しかし、住職の私からすればこのような勉強会をすることはお寺の重要な役割であり、正しい使い方だと考えています。
我々はなぜか人間としてうまれ、いずれは命を終えていく身です。
その中で、精一杯人生を生ききるためにどのような物の見方・生き方をするのか?を学ぶ場所が「お寺」なのです。
第一義には仏の教えを聞くことが大事です。
それに加えてご縁のある方が知識や情報を共有し、共に学ぶ場を作ることも「お寺の大事な役割」だと考えています。
ですので、今日はおおいに楽しみ、それぞれに気づきと学びを持ち帰っていただければと思います。
講師自己紹介
午前は座学。
まずは馬場さんの自己紹介から始まり、その後ゲーム業界の具体的な話へと展開していきます。
その話の中身が濃くてめっちゃおもしろいんですよ。
全部は紹介できませんが要点をかいつまんで紹介。
何でもいいから100やってみよう
何でもいいから100やってみよう。
20〜30でも経験していくと、自分なりの判断基準が生まれてきます。
何がどう良いのか?とかデータを比較する視座が自分のなかにうまれてくるんですよ。
過去の自分を利用して新しいアイデアを生む方法
馬場さんの部屋にはホワイトボードが3面に貼ってあって、月曜から金曜まで思いついたアイデアを壁に書いて一週間消さずにおいておくそうです。
中には酔った勢いで書いて、朝起きてみると「なんだこれ?」というようなものがあることも。
それも1週間消さずにおいておくそうです。
一週間前の自分と今の自分では違った情報や感性をもっているから、過去の自分と今の自分を組み合わせて新しいアイデアが産まれることがある。
なんでも書き留めておく習慣をつけて欲しい。
行動しないといけない
やりたいなぁ〜と思っているだけではダメ!
具体的な行動に移さなければ意味がありません。
期日を設定しよう
いつまでにやるのかを具体的に設定するクセをつけましょう。
プロは納期を守る、これが一番大事なんですよ。
ゲーム業界の話
地方の学生にとって、一番の問題はゲーム業界の生の情報を得る機会が圧倒的に少ないということ。
ゲームを作る会社はやはり大都市に固まっているため、情報収集するだけでも都会の学生に比べて地方の学生は圧倒的に不利な状態にあります。
専門学校に入っていても、十分な情報を得ることは難しいのが現状だそう。
そこで、今回の講義ではゲーム業界の仕組みや構造からはじまり、仕事の特徴や就職までの道のり、その後のキャリアアップにまで具体的な事例を交えてお話くださりました。
▼任天堂switchなどのコンシューマーゲームとスマホゲームのビジネス的な違いや
▼ゲーム会社の中の職種についての解説。
▼どんな会社に入って、どんなゲームを作るのか?の選択の違いによって仕事の条件や特性が違うことも具体的にお話されていました。
学校の先生では把握しきれない現場の生の情報を熱くお話しいただき、学生たちも真剣そのもの。
自分が考えれば自分でいくらでも未来をつくれるのがゲームの良いところです。
技術も進歩すれば進歩するだけ良い物ができていくから、夢を持って業界に入ってきて欲しい。
お客さんにどれだけ遊んでもらって、どれだけの意見をもらえるか?が成長のために必要な事。
自分を成長させてくれる会社を選んでいくことが大事です。
質疑応答
学生さんからの質問もさかんに行われ、丁寧にお答えくださりました。
なぜこれを作ったのか?
なぜこれをやりたかったか?を追求することが大事です。
どこがどうおもしろいのか?を分解して、自分のやっていることの意識と目的をきちんと伝えないとけないんです。
午後の部「つくる&タイトルを考える ワークショップ」
午後は実際にゲームを作りながら学んでいく時間。
ゲームと言っても実際にプログラミングするのではなく、簡単なボードゲームを作っていくものでした。
内容の細かいところはネタバレになってはいけないので割愛します。
今回のワークの大きなテーマは2つ。
- 考える力
- タイトルをつける力
ゲームを開発するうえで必要な、「考える力」を実際にゲームをつくりながら学びます 。
▼学校や地域を越えてチームを作り、ゲーム作りに取り組んでいきます。
10個のアイデアが必要なら最低11個以上はアイデアをださないといけない。
20、30と考えてその中から厳選した10個を選ぶということをしないといいものはできないよ!
すべての作業に対して短く時間を区切って締め切りを設定し、どんどんアイデアをだしていきます。
▼学生達の集中力も高く、熱心に取り組んでいました。
タイトルと世界観を考え、細部の設定まで作り込んでいきます。
▼副住職も参加
最終的にはできあがったゲームをチーム単位で交換してプレイしてみて、わかりにくかったところやお互いの改善提案などを行いました。
要所要所で入る馬場さんの指摘はとても鋭く、設定上の問題点や、その改善すべきポイントをビシバシ指摘していきます。
細かい所まで厳しく問うていく馬場さんの熱意に対して、負けじと食らいついていく学生達の熱心な姿が印象的でしたね。
ゲーム作りにおいて、キャラクターや世界の設定は「なぜそうでなければならないのか?」を追求することが重要で、細部まで意識し考え抜くことがおもしろいゲーム作りにはかかせないことが体感としてわかったのではないでしょうか。
今回の発起人:渡辺大さん
今回のイベントはゲーム好きでもあり、kagawaのゲーム作りコミュニティ讃岐Gamenの中心人物でもあり、児童精神科に関わる医師の渡辺大さんが発起人となって開催されました。
自分自身もゲームを作りたいという思いはありましたが、いろいろな状況から結局その道に進むことはなかったんですよね。
僕たちがこどもの頃はゲームは根暗なイメージでアニメやゲームの文化は今ほど肯定的じゃありませんでした。
しかし2017年の統計では、こどもたちのなりたい職業第2位にゲームクリエイターがあげられています。
それぐらい現代ではゲーム作りというものが若者の強い関心をひいていて、これからの文化として発展していく可能性を持っているんです。
しかし、現状地方ではゲームを作るだけの技術や知識がある人でも活躍の場がありません。
現役でプログラマーをしていた人でも地方に帰ってきたらゲームプログラマーとして生きる場所がないんですよね。
家族の反対や社会的な地位や、周りの目というものの影響も大きいですしね。
学生も一緒でゲームプログラマとして働ける場所もないし、学べる場所もほとんどありません。
本当はゲーム作りをしたいのに、情報に触れられないがために夢をあきらめるような事になったら本当にもったいないんですよね。
そんなアツい思いを持っている若い人達を応援し、ゲームを作ることが好きな人達の受け皿となるコミュニティや仕事を得るまでの道筋をつけたくてこのような機会を作らせていただきました。
自分でやれる子だけが進んでいけたらいいというのは少し暴論で、ゲーム作りがもっと身近に触れられる物にしたい。
そう思って若い人達の応援ができるようなアツいイベントを企画しました。
若者たちのために何かできることはないか?と思って行動する大人はいるんだぞ!ということを知ってほしかったんです。
これからの5年、10年ということを見越して、今この縁を結ぶことに意味があることを熱く語っていただきました。
ぼくもその思いに共鳴して全面的な協力をさせていただいています。
ぼく自身も若い頃から多くの方に育てられてここまで生きてくることができました。
その恩を次の世代に受け継いでいく順番が来ていると感じています。
イベント後の個別相談
「駿馬とねっこ」が終わったあとは学生さんが作っているゲームや作品を馬場さんに見てもらう相談タイム。
▼作品を馬場さんに見てもらいながらアドバイスをもらいます。
▼馬場さんにアドバイスをもらおうと自分たちの作品をもって並ぶ学生さんたち。
馬場さんも根気よく丁寧にすべての学生に答えていきます。
その結果すべての質問に答え終わった時には、フライト時間には間に合わない時刻にっ!
無理を承知で車をとばし空港に向かったところ、飛行機にも遅延がでているという奇跡!
無事に帰りのフライトに間に合って、馬場さんも無事に東京に戻ることができました。
そのぐらい最初から最後まで高い集中力と熱意に満ちたイベントとなりました!
セガ・DeNAをはじめ、独立後のものも含め、あしかけ22年間で20本以上のゲームにおいてプロデューサーやディレクターとしてゲーム開発に携わってこられました。