お寺に参るときにこれを知ってるとちょっとおもしろいという小ネタを紹介。
タップできるもくじ
お寺の山門と建物はずれている?
▼写真は本山興正寺の山門です。
奥に建物(御影堂・ごえいどう)がみえると思いますが、山門の正面に立ってみると山門と建物の中心がずれていることがわかると思います。
では、中に入ってみましょう。
お寺は俗の世界ではなく聖域であり、仏さまの領域であるということに敬意を示しましょう。
お寺からでる時も、向き直って一礼し帰りましょう。
さて、山門をくぐって正面から前を見ると本堂や御影堂の建物が目の前にはありません。
▼山門正面から入ったところですが参道が曲がっています。
▼そして斜めに建物に向かって行き、正面にきます。本山興正寺御影堂。
まっすぐ建てる技術がなくてこうなってるのではないのです。
むしろわざと本堂と山門はずらして建てられているのです。全ての寺院がこうなっているわけではないですが、かなり高い割合で寺院はこのような建て方をしているようです。
本堂と山門がズレている理由。
このずらしている理由は文献などできちんと調べたわけではないんですが、先輩僧侶から口伝で伝え聞いている説がいくつか紹介しますと、
1.ご本尊に失礼にならないように説。
真正面にまっすぐ参道があると、山門を出るときにご本尊やご真影に対して背中を見せることになります。お尻を向ける状態ですね。
それが失礼にあたるから、山門を少しずらした位置に建てることで、背中をむけないように自然となる設計がされている。
というご本尊を大事に思ってる説。
2.攻められたり狙われにくいように説。
昔のお寺は要人が集まったり、その相談役になったりすることがありました。
その要人が本堂の正面などにいた場合、山門の外から姿が見えてしまうわけです。
鉄砲で狙われたり、また中の様子が伺いにくい設計にすることで奇襲を防ぐという理由でずらしてある。
というセキュリティ的意味合いが強い説。
3.神社の作りと文化的に混同している説。
これも「1」の理由と似た感じなのですが、神社の参道もくの字になっていたり、斜めの場所が作られていたりして拝殿とまっすぐにはなっていないところも多くあります。
これは神さまの真正面を避けるために基本的に中心をずらして建てるのが通例だそうです。
なのでお寺と神社がごっちゃになってた時代に文化が混ざったことも考えられる。
という説。
いろいろ複合的なんでしょうけど
どれかひとつの理由でこうだ!というのではなく、いろいろな理由で慣例として本堂と山門はずらして建てるものだ、となったのでしょう。
地形的な要因のお寺もあるかもしれません。
しかし、以前念仏するということはどういうことかという記事を書きましたが、やはり現代的には1の理由を重視したいところですね。
建物という環境的な部分にも「仏さまが常に頭の中にある」ということが形としてあらわれているんだと受け取るのが良いような気がします。
現代でも新しくお寺を建てたり改築するときにはわざわざずらして建てるお寺も多いのです。
どこかお寺にお参りする時は建物だけじゃなく、参道の様子もまた注目してみてくださいね。