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仏壇の飾り方(法事編)をお坊さんが解説。真宗興正派編

法事をつとめる時、仏壇の飾り方ってややこしそうな感じがしますよね?

ろうそくは何色?

水やお茶はどこに飾るの?

そんな疑問にお答えするべく、この記事では法事の仏壇の飾り方を写真付きで解説しました。

法事をいつ開催すれば良いかわからない場合は、こちらの回忌の数え方の解説もあわせてご覧下さい。

仏具の名称一覧

仏壇の中に使われる仏具の名称一覧表です。

解説図の中の番号はこの表に対応していますのでチェックしてみてください。

仏壇の中の道具の名前一覧

法事の仏壇の飾り方

法事のときは平常時の仏壇のお飾りより、豪華な飾り付けになります。

基本はお寺の荘厳しょうごんにならった五具足の形

法事の時には一番丁寧なお飾りの形、五具足にして飾ります。

五具足というのは花瓶一対、蝋燭立て一対、香炉という5つの仏具を飾ることです。

お仏壇を迎える意味や必要性を解説した記事で紹介していますが、お寺のキラキラした飾り付けは仏様の世界である浄土のジオラマです。

その浄土のジオラマであるお寺の荘厳しょうごん(お飾り)を家庭サイズにミニチュア化したのがお仏壇です。

ですから、法事のときのお仏壇の飾り方はお寺の仏具の飾り方をマネすると良い。

まずは本堂の飾り方をみてみましょう。

本山興正寺の本堂(阿弥陀堂)ではこのような飾り方をしています。

本山興正寺阿弥陀堂の五具足の飾り方
本山興正寺阿弥陀堂の五具足の飾り方

ご本尊の手前にある背の高い台・高卓たかじょくに赤い打敷がかけられています。

その上に花瓶かひん一対ろうそく立て一対・中心に香炉を配置して、合計5つの道具がならんでいます。

これを五具足ごぐそくと言います。

お寺の飾り方を参考にお仏壇を飾ると下のような状態になります。

お仏壇上部に五具足で飾った図
お寺の飾り方に準じた五具足の飾り方

お花やろうそくが高い位置にあり、お寺の飾り方を踏襲したきれいな飾り方になっています。

しかし、本堂と違ってご家庭のお仏壇は空間にゆとりがありません。

この飾り方をすると、花やろうそくの炎が他の道具にあたってしまう可能性があります。

よほど大きなお仏壇でないと、お寺のような五具足の配置をするのは難しいです。

ですので、このあと紹介する実用編を参考にしてお飾りをしてみてください。

法事の仏壇の飾り方・実用編

仏壇のサイズにあわせて実用的な飾り方をするとこのような形になります。

お仏壇の下部にお花や蝋燭を飾っています。

仏壇の実用的な五具足の飾り
実用的な五具足の飾り方

このような飾り方をしたほうがスペース的に無理のない飾り方ができると思います。

一周忌でも三回忌でも、法事のときは同じように飾ってもらって大丈夫です。

ではひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1.ご本尊

まず中心にご本尊を配置し、むかって右側に十字名号、左側に九字名号をかけます。

ご本尊のかけ方図
阿弥陀如来と九字・十字名号

2.お水とお仏飯

お水のお供えの仕方は以下のとおり。

ご本尊の前に華瓶けびょう(けびょう)に水をいれ樒(しきみ)をさし、ご本尊の正面にお仏飯をお供えしましょう。

華瓶と仏飯の飾り方
華甁とお仏飯の飾り方


コップにお茶やお水を入れてお供えする必要はありません。

3.金香炉かなごうろ

金香炉はフタのついた金属製の香炉をさします。

金香炉(かなごうろ)

金色だけでなく、黒っぽい色のものも多いです。

金香炉は焼香をする時に使います。

蓋をはずし香炉の左側に置き、中に火種として焼香炭をいれます。

焼香作法GIF

香炉の右側に香盒こうごう(抹香を入れる入れ物)を用意しましょう。

回し焼香をする際は、金香炉・香盒をお盆にのせて参列者に順番にまわして焼香します。

金香炉のサイズが小さい場合、炭の熱で香炉本体がとても熱くなる場合があります。

ヤケドしないように取扱いには十分お気をつけください。

4.五具足(花瓶一対、蝋燭立一対、香炉)

五具足は花瓶やろうそくの並べ方のことです。

仏壇の前に台を置いて打敷をかけ、その上に五具足(花瓶一対、蝋燭立一対、香炉)を写真のように並べます。

五具足の写真
五具足で飾った様子

ご法事のときは、造花ではなく生花をお供えしたいものです。

とはいえ、それぞれにご事情もあって難しい場合もありますよね。

お供えの造花専門店Memories(メモリーズ)のようなお供え用の造花もありますので、必要でしたらご利用ください。

蝋燭について

真宗興正派の法要で用いる正式なろうそくは棒型の朱ろうそくです。

朱のろうそくが無い場合は白のろうそくを代用していただいてもかまいません。

線香について

線香は以下の写真のようなフタのない香炉にお供えします。

線香のお供えの仕方
線香は寝かせてお供えします。

お寺では土香炉どごうろといって焼き物の香炉を使いますが、ご家庭のお仏壇では金属製のものが多いと思います。

香炉の灰を慣らして、その上にお線香を折って寝かせてお供えします。

浄土真宗ではお線香は寝かせておくのが正式作法です。

お線香は香りがいいものを用意するのがいいですね。

白檀沈香など香木を原料としたお線香をお供えする良い香りがひろがります。

5.経卓きょうじょくりん御勧章ごかんしょう

お仏壇の前に置いてある机は経卓きょうじょくといって、お経本を置くための机です。

机の上はすっきりさせてお鈴や線香など、雑多に物を置かないようにしましょう

御勧章は左手に置き、おりんは経卓の上ではなく右手前下に置いてください。

経机の写真
経卓の上はお経本を置きます

6.お供え

お仏壇の中のお供えは華束(⑩けそく・お供えを置く台)の上にのせられる量にします。

仏壇の五具足の図解と写真
お仏壇の中にはお供えを山盛りにはしない方がキレイです。

親戚の方など参列者の方が持ってこられたお供えは、お仏壇の横あたりにスペースを用意してお飾りすると良いでしょう。

7.位牌・過去帳

繰り出しの位牌を使っているご家庭も多いと思いますが、正式には過去帳を用います。

過去帳の全体写真
過去帳

法事をつとめる方の法名が記されたページを開き、誰の法事かわかるようにしておきましょう。

過去帳を開いたところ

位牌や過去帳はご本尊や九字・十字名号を隠してしまうような位置には置かず、ご本尊よりは下げた位置で正面を避けて安置するようにしましょう。

法事の仏壇の飾り方まとめ

お仏壇によって大きさも棚の数も違います。

この写真の飾り方を基本の形として、ご家庭の仏壇の状態にあわせて飾り付けをしてみてくださいね。

仏壇の実用的な五具足の写真

葬儀の後から四十九日の法事までの中陰壇と仏壇の飾り方はこちらを参考にしてみてくださいね。

また、ご法事の時に限らず、お線香は香りのいいものを使ったほうがいいですよ。

線香は臭い!と思っている方はぜひ1度いい香りの線香の世界を知ってもらいたいです。

実際に使ってきて、人にお勧めできるオススメのお線香をまとめた記事もあるのであわせてどうぞ!

法事が終わったらお仏壇のお飾りも通常の状態にもどしましょう。

日常の仏壇の飾り方はこちらをご覧ください。

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